LOOCHOO “TIME – LONDON meets OKINAWA. “vol.2
博美: あと、私は亜弥さんの作品に関しては、もっと時間が必要だったのかな?って思う。もっと、じっくり空間にむきあっていたかったのかな?って。作品を作っているときに、空間を縫う感覚になったって聞けて、すごいって思ったし。もっと、もっと時間が必要だったのかなって。
亜弥: どうでしょうね。あぁ、でも、搬出のときに参加作家のdeccoさんご夫婦の息子さんと遊びながら作業してて。彼、5歳なんですけど、レンガ運びも手伝ってくれて、レンガ運び競争みたいな感じになったり(笑) それで、刺繍のパーツを片付ける前に、いろんなところで撮影してたら、彼がそれを磁石で貼付けて遊んでて。面白いなぁって思ったんです。 レンガの建物に磁石にくっつく素材が点在してて、それを見つけて刺繍を点々とさせたら面白いって思って。彼に磁石と刺繍を渡して、彼が探した点で撮影して遊んでたんです。それをさらに線でつないだらって想像すると面白いなって。
博美: 展開していったんだね。あの、スペースは小さかったのかもね、亜弥さんの作品には。
それじゃあ、次の質問。 イギリスの滞在について、なにか特に楽しめたこと、楽しめなかったことってある?
亜弥: 楽しかったのは、マーケットです。私、2年前からアトピーの治療始めて、それで結構、季節や天気、あとは食事によって体調が崩れたりっていうのがあるんですね。
博美さんはもう知ってると思うけど、私は食いしん坊でよく食べるから、食事制限とかし始めた頃は結構大変だったんだけど、友人がそれをきっかけ に砂糖や卵、牛乳、油も使わない米粉のパンやおやつを作ってくれたりして。それで世の中にはこんなにいろんな食材があるんだなぁって知って驚きだったし、 食事制限は大変なんだけど、身体が取り巻く環境や変化に敏感になってるってことに向き合うと、面白いなぁって思ってます。
この2年で身体のこととご飯のことってかなり重要になってて、それで今はやっぱり食事が気になってるみたいですね。
博美: 亜弥さんの手作りご飯おいしかったー。ロンドンでその点で困ったことってあった? 食料事情で。
亜弥: いえ、ないです。逆にすごく食材豊富だと思いました。
到着してすぐに連れてってもらったスーパー、1〜2時間は平気で物色できます。
私、食材コーナー大好きなんです。
例えば、サラダにドレッシングかけたいんだけど、市販のものだと添加物とかいろいろ入っているし、砂糖も使ってるし。。。てなるけど、原材料をみて、それを自分でアレンジすればいい。
そうするとレパートリーも増えるし、売られているもの全部がレシピに思えたら、いろんな食材の 表示をチェックし始めて。。。ネットサーフィン状態です。
博美: そうか、亜弥さんの表示チェックはサーフィンと一緒なんだね、面白い。
亜弥: あと、楽しめなかったことってあんまりなくて、 でも、とっても特別だったことっていうのも案外なくて。 それが意外でした。
博美: 天気とかは?
亜弥: 天気は、滞在中、割と雨の日が続いてましたが、私は結構晴れ女なので、出かけるときに大雨にやられてびしょぬれってことはほとんどなく、ずんずん歩いて自分の時間でまちをまわれたのは楽しかったです。 あと、嬉しかったのは、博美さんのお友達に会えたこと。何人かのアーティストのおうちにおじゃまできたことは嬉しくて、制作している環境の中に生活もあるって贅沢だなって思いました。アトリエほしいなって。アトリエに人を招きたいなって羨ましくなったかな。
博美: とくに特別でもなかったていいねー、亜弥さんは実はどこでも同じかもね。どこでもやっていけるかも、、、
亜弥: あ~私、結構どこの家でも住めるんです。結構なじみます。
博美: ナイス
亜弥: 大学のときは友人の家とかに住まわせてもらったりして、それが楽しかったです。作品にもしてました。生活空間になじむって、その人の生活を疑似体験している感じがして、それが会話みたいで楽しいなって思いました。
博美: じゃあ、今後の予定は?アトリエを持つこと?
亜弥: そうですね。今、大学の先生のご好意で一軒家に住んでるんですが、来年には住む家を見つけないといけないので、やっぱりアトリエとして使える空間と人を招くことのできる空間があるといいなって思います。拠点、どこにしようかな~って。博美さんも来年帰ってくるし、楽しみです。沖縄で小さくてもまた何か一緒にできたらいいなって。
そうだ、夏に今住んでいるお家で大学の先生と先輩、後輩を交えた展覧会を予定しています。不特定多数の人に来てもらうというよりは、大学の卒業生や在学生が交流できる機会になればいいなって思ってるんですが。そこでみんなで作品のこと話しながらご飯したりして、「あぁ、この人面白いな、一緒に何かやりたいな」とかってなって、それで何か生まれたりしたら楽しいなぁって。
来年以降はそのお家は先生たちが住む場所になるので、展覧会に呼ぶ人もある程度制限した方が良いと思ってるので、小さいものになりますが、私自身がもっと上の世代の人たちと作品の話とかもしたいな、聞きたいなぁって思ってて。だから、そういう情報交換の時間を作れるかなと思い、そしたら今年がそのチャンスかなと思ってます。
博美: じゃあ、今年の夏は、交流会やるんですね。楽しみだー。ご飯もうまいし。いろんな会話が生まれますね。やること一杯あるね、亜弥さん。
亜弥: 自分の首しめてますかね?(笑)
博美: ぜんぜん楽しいことだから、首しめてはいないと思うよ。自分が興味あることだから。
亜弥: 今年はチャレンジの年だと知り合いに言われて、イギリス行って、それで体調もよくなったし、やりたいことやってたら身体もそれに着いてくるのかなって思ったらいろいろやりたくなりますね。でも、向かう先は結構ひとつな気がします。どこに向かってるのかわかってないとこもありますが。。。
博美: 体調のこと心配だったけど、山内盛彰さん(陶芸家)とも話してて、亜弥さんは良く寝るし、食べるし。結局は私たちより健康なんだっていうことです。私たちは不健康で、、、反省。
亜弥: あははは~!!!寝てましたね、食べてましたね。
博美: そう、チャレンジャーになって!! Go Aya Go!! だよ。
亜弥: GoGo!!!もしかして、おしゃべり、終了に向かってます?
博美: そうですね。
亜弥: それじゃあ、今日は仕事前の貴重なお時間、ありがとうございました!!ほんとに感謝です。
博美: じゃあ、私もGo Hiromi (郷ひろみ)で、、頑張るよ。
亜弥: あはははは~
作家プロフィール:津波博美 Hiromi Tsuha
1970年沖縄生まれ、現代美術家。
UALロンドン芸術大学大学院修士課程修了。
2006『Deptford X Open』APT ギャラリー(ロンドン)、2008 Wanakio2008(沖縄)、2009 『Unconscious memories/無意識の記憶』Skalyija(リトアニア)、2009 「ウェストミンスターアーツオープン』SW1ギャラリー(ロンドン)、2010年「Home/家 沖縄・イギリス交流映像展」Club ELSEほか(沖縄)、『3rd house』Gallery point-1(沖縄)、『サロンアートプライズ2011』(ロンドン)、2011 「パーフェクトプレイス』区長の廃屋 (沖縄)、『フォーフロアーズ/フォトアイルランド2011』MadArt gallery (アイルランド)、「Really」アングリアラスキンユニバーシティ(ケンブリッジ)、2012年「Loochoo’TIME’」Crypt Gallery(ロンドン)、「BookMare」キャンバウェルスペース(ロンドン)他。
Hiromi Tsuha HP http://www.hiromitsuha.com/